くれない寮-スチュワーデス物語-脚本第8話「初めてのキッス」-千秋の実家に真相を確かめに行く村沢と柿野

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このコーナーではスチュワーデス物語の名場面を脚本形式で再現します。

千秋の実家に真相を確かめに行く村沢と柿野
40	松本千秋の実家
	チャイムが鳴るドアを開ける松本弓子柿野訓練課長と村沢教官が現れる
柿野訓練課長	「ご主人いらっしゃいますか？」
松本弓子	「は、おりますけど」
柿野訓練課長	「失礼します」
	顔をあわせる松本清治
柿野訓練課長	「どうも」
松本清治	「何だ、二人揃って。こいつをクビにして謝りに来たのか？」
柿野訓練課長	「謝るのは私たちじゃない、あなたです」
松本清治	「なんだと？」
村沢教官	「お母さん、今日、訓練中、娘さんは失神しました」
松本弓子	「千秋が、どうして？」
村沢教官	「今度の教室の事件、嘘を並べて騒ぎ立てたのはみんなこの男だが、悪い親でも親は親、僕たちに打ち明けるわけにはいかない。松本はさんざん苦しんだ挙句に倒れてしまったんです」
松本弓子	「千秋がそれほど」
村沢教官	「お母さん、僕はどんな事があっても、松本を一人前のスチュワーデスに育ててやりたいんです。教官をクビになったらそれができない。頼みます。本当のことを言ってください」
松本弓子	「本当のことってなん、何ですか？」
松本清治	「弓子、お前黙ってろ、口聞くな」
村沢教官	「昨晩、あなたは、娘さんに会いたいと言った。それでこの男が千秋さんを連れ出しに寮まで行ったんです」
松本弓子	「あたくし、そんなこと言った覚え全然ありません」
村沢教官	「寮へ行ったら、松本と僕は教室で特訓中だと分かった。それでこの男、娘の身を心配して訓練センターへ駆けつけたんです」
松本弓子	「主人が千秋の身を心配するなんて、そんな馬鹿なこと。この人あの子にはとっても冷たいんです」
松本清治	「弓子、しゃべるなと言ったはずだ。ベラベラしゃべって殴られたいのか？この野郎」
	弓子に飛び掛りそうになるのを必死に押さえる柿野、村沢
柿野訓練課長	「見ろ！次から次へとあんたのボロが出る。村沢をクビにしたくてあんたがでっちあげたんだろ？」
松本清治	「馬鹿馬鹿しい、俺がこいつクビにして何の得があんだよ」
松本弓子	「あなた、あのお嬢さんからお金を貰って引き受けたんでしょ？」
村沢教官	「あのお嬢さん？」
松本弓子	「確か新藤真理子っておっしゃる方だと思いますけど」
柿野訓練課長	「新藤真理子？本当ですか？」
松本清治	「馬鹿ゃろう、しゃべっちまった。そうだよ、新藤真理子が張本人だ。俺、あの人に頼まれてな、千秋と村沢とのスキャンダルをでっちあげてこいつをクビにしたかっただけなんだよ。ちょっと金が欲しかったからね。あんたね、文句があんだったら、あのお嬢さんに言ってくれ。そうだよ、お前さんの婚約者によ。はははは。はははははは。ははは」
	無言で立ち去る村沢
41	羽田・日本航空乗員訓練センター・入口
	制服にエプロンを着て門前に立つ松本千秋出勤してきた村沢
村沢教官	「松本安心しろ、お前の親父さん、教室の事件はでっちあげだと認めたぞ」
松本千秋	「それじゃぁ、教官クビにならないんですね？」
村沢教官	「いや、それには条件があるんだ」
松本千秋	「条件？」
村沢教官	「今日のシャンペンサービスの訓練でお前が見事にグラスにつぐことだ。また手が震えて失敗したら俺はクビになるな」
松本千秋	「わかりました。きっとシャンペンをうまくついで見せます」
村沢教官	「松本、俺とお前に残された日にちはあと3ヶ月しかない。その3ヶ月二人で一緒に頑張ろう。な！」
松本千秋	「はい、教官といられる3月の間が私の全てです。教官と一緒に、教官と一緒に命がけで頑張ります」
42	同・モックアップ・キャビン
	シャンペンの蓋を開ける千秋柿野にシャンペンをサービする千秋
松本千秋	「お待たせいたしました」
木下さやか	「やったぁ」
478期訓練生	「やったぁ」
中島友子	「上手ぅ」
	拍手が起こる村沢のグラスにもシャンパンを注ぐ千秋
柿野訓練課長	「スチュワーデスさんなかなかつぐのがお上手ですな。それに実にうまい」
松本千秋	「あ、そうですか？」
柿野訓練課長	「ははは」
	村沢が手に持ったグラスを取り上げ一気にシャンペンを飲み干す千秋
松本千秋	「ああ、よかったぁ」
478期訓練生	「あはは」
中島友子	「やぁだぁ」
	あっけにとられる柿野爆笑する478期訓練生たち我に返りグラスを後ろに隠す千秋
中島友子	「可愛いぃ」
	字幕・次回をおたのしみに！



(2005/12/28改)